「カンニング」や「生活保護・雇用保険の不正受給」などの『ズルイ行為』にムカつく人間の心理とは?

『カンニング』や『生活保護の不正受給』『雇用保険の不正受給』このようにズルイ行為に多くの人は腹を立てます。自分が直接不利益を被らなくてもムカついてしまうのです。
自分には関係ないのにズルイ行為になぜ腹が立つのか?
その理由を追求してみました。

ズルイ行為になぜムカつくのか?

ルール―を破って得をするズルイ人間にムカつく原因は、正義感というよりも、悔しくてムカつくといった感情が優勢のようです。
人は基本、他人が楽をして得することが許せないのです。

ズルイ行為が許せない心理

「人は本能的に快楽原理に従って生きようとする」精神分析の創始者フロイトの言葉です。

ジークムント・フロイト
オーストリアの精神医学者

人は自分の快楽を追求し欲しいものは即手に入れ、嫌な事はやらないものです。
しかし、本能のままに~を全員が実践してしまうと、人とぶつかり争いが起こり社会は大パニックとなるでしょう。力の強い者・権力のあるものが自分の欲望のままに振舞い、弱者は虐げられ日々耐えて生きるしか道はない、まるで北斗の拳の世界のような殺伐とした世界になってしまうでしょう。

社会の安定のために人間は本能を抑えている

社会を安定させるため、現代では人間はしつけや教育で、欲望を抑制して周囲との調和を重視するように教え込まれます。
私たちは「ズルいことをするのは悪い事だからしてはいけない」といった良心や「正しい人はズルをしない」といった理想を発達させるように教えられます。
また「ズルをした人間には罰を」といった法律や規則をつくり、人間が本能のまま行動しないように社会全体で取り組んでいるのです。

本能を抑えると欲求不満(フラストレーション)に陥る

しかし、人間の本能を抑えつけるための良心や理想・法律・規則に、多くの人は無意識にフラストレーション(欲求不満)を感じています。
心理学の欲求不満・攻撃理論では人はフラストレーションに陥ると攻撃的になります。

ズルイ行為を見ると、抑えていたフラストレーションが爆発する

そのため、ズルイ行為やルール破りを目撃すると普段、無意識に感じているフラストレーションが爆発して、ムカついたり腹が立ったりするのです。

ズルイ行為を攻撃する大義名分 その名は「正義」

しかも、「ズルいことをするのは悪い事だからしてはいけない」といった良心や「正しい人はズルをしない」といった理想、規則違反・法律違反といった大義名分がありますので、ルール破りのズルイ行為には腹を立てるのが正義となり、攻撃衝動が正当化されます。
この攻撃衝動は「自分は正義」と思えるので、大変心地よい攻撃衝動となります。

生活保護や雇用保険の不正受給に大騒ぎ・総攻撃する人の心理は、こういった心理からきているものと思われます。

興味深い実験「カンニング実験」

ズルイ行為にムカついたり・腹を立てる人は、自分はズルは絶対しないのかというと、そうでもないようなのです。
実はバレないと分かると、かなりの人はルールを破ります。
「人はルールを守るのか?」ということを実験した、興味深い社会心理学の実験がありますのでご紹介します。

その実験はカンニング実験と呼ばれています。

【カンニング実験】
試験官の下で1人でテストを受けさせる。
試験官は「終了のベルが鳴ったら終わってください」といって部屋からいなくなる。
終了のベルが鳴った後、どのくらいの人がテストをやり続けるかを調べる。

この実験の結果、70%以上の人がベルが鳴ってもテストをやり続けたそうです。
バレなければルール破りをする人が多いということが分かります。
人間は他人のズルには腹を立てるが自分はズルをしようとするのです。

最後に「不正受給の密告システムはよくできている」

『カンニング』や『生活保護の不正受給』『雇用保険の不正受給』このようにズルイ行為ムカついてしまう人の中には、他人のズルイ行為を暴く通報マニアになってしまう人もいるようです。
人は基本、他人が楽をして得することが許せないので、不正受給の密告システムは人間の心理をうまく使ったシステムだと思います。

通報する人間はフラストレーションを解消することができ、支給側は不正な受給を防ぐことができるのですから。