観音様の「裏の顔」をご存知ですか?
裏の顔と言っても、性格のことではなく本当に後ろに付いている顔のことです。
さっそく写真です。
こ・こ・こ・怖い!!!
最初に見た時ビビりましたよ私。
この不気味な大笑いは何事か?
このお顔は、十一面観音の後頭部、真後ろに付いている一面です。
大笑面(だいしょうめん)
または、暴悪大笑面(ぼうばくだいしょうめん)と呼ばれています。
暴悪大笑面とは
暴悪大笑面は「邪を笑う相」「煩悩だらけの人の愚かさを笑い飛ばす表情」「悪行を大口を開けて笑い滅する」と言われています。
わらって悪を滅するということですね。
ただ、どうも目が笑ってないような気がするんですが…。
十一面観音は観音様の変身した姿
十一面観音って観音様なの?とお思いかもしれませんが、十一面観音は観音様が変身した姿です。
観音様は変身が得意で、某特撮ヒーローのように、救う相手に合わせた姿に変身します。
十一面観音は変身形態のひとつなのです。
どこで見られるのか?
多くの寺院では十一面観音は正面を向いているため、真後ろの一面の暴悪大笑面はなかなか見ることができません。
しかし見ることができる場所があります。
滋賀県長浜市にある渡岸寺観音堂(どうがんじかんのんどう)です。
十一面観音様は渡岸寺観音堂の「慈雲閣」と呼ばれる収蔵庫にいらっしゃいます。
ここでは、十一面観音の背後に通路があり、360度のすべての角度から拝観が可能、そして、なんと暴悪大笑面にスポットライトが当たっているそうです。
この十一面観音は、日本全国に七体ある国宝の十一面観音の中で最も美しいとされ、日本彫刻史上の最高傑作といわれています。
ちなみに「渡岸寺」とは寺の名前ではなく地名であり、渡岸寺観音堂は向源寺(こうげんじ)という真宗大谷派の寺院に属しています。
おわりに
やはり悪行を滅するには、笑って滅するのが一番なのでしょう。
明らかに怒ってるって分かる人に怒られるより、笑顔なんだけど目が笑ってない人に怒られる方が数倍怖いですものね♪
暴悪大笑面の読み方ですが、本や資料によって「ぼうあくだいしょうめん」であったり「ぼうばくだいしょうめん」であったりします。
どちらの読みが正しいのか分かりかねますが、ここでは「ぼうあくだいしょうめん」としました。