もしも、働いている会社が突然倒産・経営者が夜逃げをしてしまったら、未払いの賃金はどうなるのでしょうか?
泣き寝入りするしかないのでしょうか?いいえあきらめてはいけません。
実は未払いとなっている賃金を国が立て替えて支払ってくれる制度があります。
「未払賃金立替払制度」といいます。
多くの方がこの制度を利用して未払いの賃金を取り戻しています。
私もその一人で、未払賃金立替払制度を利用して未払いだった2か月分の給料を支払ってもらうことに成功しました。
今回は私の経験談と未払賃金立替払制度についてご紹介します。
未払い給料を労働基準監督署に支払ってもらった体験談
私がパートで働いていた職場はフランチャイズ式の店舗でした。
就職して1年間は何事もなく過ぎましたが、2年目に入りオーナーが変わりました。
新しい経営者は、その分野の専門家というわけではなく『パン屋』『焼肉』など様々な種類のフランチャイズ経営に手を出している人物でした。
半年して給料が2・3日遅れるようになりました。
おかしいなと思ってはいたのですが、担当している利用者さんのことを考えると辞めるに辞められずそのまま働き続けていました。
しかし、2年目が終わる頃に給料がまったく支払われなくなりました。
ある日出勤すると「オーナーがトンズラした!」との噂で持ちきりでした。
2か月分の給料を未払いのまま逃げていったのです。
私の場合はパートなので給料は10万円弱でしたが、正規で働いていた人の損害は60万円近くです。全員、怒り心頭です。しかし利用者さんに怒りを見せるわけにもいかないので、業務は続行していました。
給料が支払われない時の対処方法をいろいろと調べていくと、裁判を起こすのは経営者が行方不明なので現実的ではなく、労働基準監督署が支払われない給料を補填してくれるらしいのでそれが一番良い方法だと思い、徒党を組んで労働基準監督署へ押しかけることにしました。
もちろん事前にアポイントをとり、労働の証拠となるタイムカードを持って行きました。
労働基準監督署に着くと会議室のようなところに通され、老紳士風の職員(男性)が手続きをしてくれました。1時間もかかりませんでした。
そして、約1カ月後に給料の8割ほどの振り込みがありました。
オーナーはまだ許せませんが、労働基準監督署が代わりに支払ってくれたのでかなり救われたと思います。
未払賃金立替払制度の概要と利用方法
未払賃金立替払制度とは?
未払賃金立替払制度は、勤めていた会社が倒産したときに、未払いとなっている賃金のおよそ8割を国が立替えてくれる制度です。
制度を管轄しているのは厚生労働省で、窓口は労働基準監督署と独立行政法人労働者健康安全機構です。
1.労働の証拠を確保
労働の証拠となるものを確保しておくのが最優先です。
なぜかというと証拠なしで、未払賃金立替払制度を利用するのはかなり難しいからです。
申請が通らなかったり、時間がかかったりする可能性があります。
また悪質な経営者の場合は、すべて処分して行方をくらますなどということもやりかねませんので、下記のような書類の原本、もしくはコピーを確保しておくとよいでしょう。
- 過去の給与明細
- タイムカード
- 出勤簿
- 労働契約書
- 就業規則
2.労働基準監督署へすぐに相談する
証拠を確保したらすぐに労働基準監督署に相談してください。
急ぐ理由は、立替払の対象となる未払賃金は締め切りがあるからです。
立替払の対象となる未払賃金は労働者が退職した日の6か月前から立替払請求日の前日までに支払期日が到来している定期賃金と退職手当のうち、未払となっているものです。
この制度を利用するにあたって、自分で書類をダウンロードしたり申請することもできるのですが、正直言ってかなり煩雑です。
また様々な要件がありますので、全部自分でやろうしないで、証拠を揃えてすぐに最寄りの労働基準監督署に相談することが大事です。
厚生労働省のHPでもそのようなアナウンスがあります。
未払賃金立替払制度については、まずは最寄りの労働基準監督署にご相談ください。
↓全国の労働基準監督署の所在地と連絡先は以下のリンクから確認できます。↓
最後に
未払いの賃金を取り戻すために、ぜひこの未払賃金立替払制度を利用してみてくださいね。
ちなみにこの制度ですが、あくまでも立替払なので、最終的には倒産した会社の事業主に請求が行くようです。
それを考えるとちょっとスッキリしますね。
最後になりましたが、会社が倒産して失業してしまった場合は、未払賃金を取り戻すだけでなく、雇用保険も忘れずに受給しましょう。会社が倒産の場合は雇用保険がすぐに受給できますので忘れずに手続きを行いましょう。雇用保険の窓口はお住まいの地域のハローワークになります。